ゲゲゲの鬼太郎…日本一有名な、「創作された」妖怪かと思う。
その創作者でもあり、なんともユニークで楽しくて、あれこれ悪さもするけれども、どこか
憎めない、そんなキャラクター、ねずみ男の産みの親が水木しげるである。
水木しげるの世界は広く、深い感じだ。
ゲゲゲだけが知られている風であるが、水木しげるの著作は多岐にわたっている。
もっとも根底ではテーマがあって、そこから枝葉が分れている部分もあるようである。
目に見えないもの…
それが「存在する」という不思議。そこが水木しげるの創作の原動力であると私は考えている。
水木しげるは、ゲゲゲの鬼太郎について、こんなことを荒俣宏との巻末対談で述べている。
「鬼太郎のような無欲な人間はいないですよ。だから、どうしても、ねずみ男が必要になる
んです。無欲な鬼太郎を悔しがる人間が欲しいんですよ」
「それで登場してくるんですね」
「ええ、登場して、均衡を保つんです」
興味を引かれた方は、「ねずみ男とゲゲゲの鬼太郎」(角川文庫)の巻末を一読されると
良い。
比較的、新しい話の多いこの短編集は、盛りだくさんの話であふれている。
水木しげるの、見事なまでに、背景のディテールのリアルな精密さ、それは、アニメだけでは
味わえない、世界である。
まだまだお薦めしたい水木作品が沢山あるので、まずは、水木しげる入門、として、鬼太郎
とねずみ男のことを書いてみた。