掌編 『限界点』 roman

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雨の日も風の日も。来る日も来る日も。

彼は支え続けて来た…戦いに敗れたあの日からずっと。

もうどれくらいの時が流れたのだろう。この罰に終わりは無いのか…

ずっしりとした重い罪が彼を常に苛んでいた。休むことは許されない。

この罰はいつまで続くのだろう…

ある時彼は気付いた。彼を罪人にした「彼」が居なくなったことに。

でも本当に居ないのだろうか…

どこからか、自分を見張っているのでは無いのだろうか…

その考えが彼の忍耐力を奪い始めた。今まで耐えてきた罰のなんと過酷で苦しかったことか…

それから幾日か経った時。

彼はもう自分がこの罰を耐える力を失なったのを知った。こうなったらもうどうなってもいい。

彼は肩に担いでいた球体を、じわりじわりと肩から下ろし、そして、添えていた両腕を放した…

球体は暗闇の中に吸い込まれて行った。

彼の名はアトラス。ゼウスと戦ったティターン族である。ゼウスとの戦いに敗れた後、地球と

いう天体を支える罰を与えられていたのだった。

「司令部に繋いでくれ」太陽系の観測をしていた艦隊の乗組員が、モニターに告げた。

「定時連絡か?」モニターの向こうで司令部の係員が尋ねた。

「ああ、変化が起きた、太陽系の惑星のひとつがブラックホールに吸い込まれたんだ」

「…詳細を述べよ」

こうして20XX年、地球は消滅したのである。

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