境界のRINNE~高橋留美子はやはり面白いのだ 2

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「境界のRINNE」の世界では、舞台は高校ではあるが、主人公りんねを始めとする死神たち、その契約黒猫、

りんねと少しずつ気持ちがシンクロしていっている真宮桜とその友達やクラスメイトたち、真宮桜に片思い

(現在は状況に変化あり)している、お祓い屋の十文字翼が中心となって、学生やあちこちにいる「成仏

できない」魂(時には動物霊も含む)をあの世の輪廻の歯車に乗せる手伝いをするのが、話のメインの筋に

なっている。

りんねを取り巻くひとびとの中に、今でも健在で腕利きの死神、りんねの祖母の魂子、りんね一筋の

死神鳳(あげは)、りんねの契約黒猫(その死神の仕事を全面的にサポートする黒猫)である六文、

りんねの父で、すちゃらか親父な堕魔死神の鯖人、その美人秘書(実は鳳の姉)、死神小学校で一緒だった

悪魔の魔狭人、などがいるが、それに加えて、個性的で面白い登場人物が巻を追うにつれ現れてきている。

現在の最新刊は23巻であるが、それより10数冊ほどさかのぼった12巻に、黒猫段位テストの話が出てきて、

特に面白い話で個人的にお気に入りなのでちょっと書いてみる。

ここでは、死神その他、契約黒猫を使っている連中が揃う。主人公のりんね、鳳、記死神の架印だ。

死神(架印だけは役人で人間の寿命を管理する仕事をしている)たちの契約黒猫が、その腕前を試される、

段位テスト。

りんねの黒猫、六文は、まだ小さいが(なりも小さい)なかなか沈着冷静な性格で、貧乏なりんねの

サポート役を勤めており、成長すればやり手の黒猫に成長しそうである。鳳の黒猫は朧。りんねとは違い

お嬢様の鳳の契約黒猫である朧は、六文より年上のようだ。六文がせいぜい中学生かそれ以下とすれば、

朧は中学生か、りんねや鳳と同じ高校一年生位に見える。

気性はさっぱりしていて、鳳と上手くやれるだけのことはあり、割と物事にはこだわらない。

架印の黒猫、鈴は女の子である。りんね同様(そしてりんねの父である鯖人のおかげで)貧乏な架印は、

高校進学を断念して社会人になっているのだ。そんな架印の契約黒猫の鈴は、捨て猫であった。

鈴は六文かそれ以下位の年齢のようだが、まだまだ子供で、段位テストも特に自分で受けようと

思ったわけではないような感じ…といった下地があって、他の沢山の契約黒猫たちとともに、

段位テストにのぞむ三人、もとい三匹であるが…

これに、途中の難しいテストの時に、りんねのところにかつてホームステイしていたことのある

小学生死神の翔真と翔真の契約黒猫、結構大人の設定(とはいえ大学生くらいであろうか)の黒洲

(黒猫段位六段のベテラン黒猫である)がからんできて、てんやわんやのどたばたな世界が繰り広げられる。

死神との連携も問われる段位テスト、はたしてどうなるのか?!

という筋立てが非常に面白い。長さもそこそこあって、一話完結ではなく、五話に亘っている。

このあとにも愉快な登場人物がどんどん生み出されていく。その辺も含めて、大いに楽しめる漫画である。

高橋留美子の書く漫画の特徴に、読んでいるとまるで絵が動いているのかと思うような臨場感があると

思う。それは、セリフや絵などの割り振り、そこにメリハリがあり、テンポや静止まで感じさせるのと

無関係ではないだろう。

わくわくしながら読む進むと、たまにちょっとしんみりしたりする場面もあったりする。しかし結局はやはり

笑ってしまう。

楽しく読むのが漫画。そんな基本的なものを充分に堪能させてくれる、境界のRINNEだ。

表紙の左下 朧  その上 六文  その隣 黒洲  右 鈴

2件のコメント

  1. 黒猫ちゃんのお話は私も好きなので書いてくれて嬉しかったです!
    架印についても特集してほしいな。
    ひょっとしたらもうしてるかもしれないですけどね。

    • みるくさん、コメントを有難うございます!嬉しくて、励みになります。契約黒猫の話はいいですよね。
      架印の単独の話というより、単発の話は幾つかあるとは思いますが、特集は今のところ無い感じですね…
      あのお母さんで…最初のうちはりんねと「敵対」していたのが段々…というのが高橋留美子らしいし楽しいです。

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