青空文庫をちらほら見ていたら、芥川龍之介を読んでみようという気になった。
出来れば読んだことのない短編をと思ってふと題名を見たら、「東京に生れて」と
いうものがある。自分も東京に生れたので、ちょっと気になって読んでみることにした。
小説ではなく、千字ちょっとの掌編である。文章はいかにも芥川竜之介だなあと
思わせられるものだ。
変化の激しい都会
住み心地のよくないところ
広重の情趣
郊外の感じ
の四部に分かれているが先に書いた通りの掌編なので直ぐ読める。
こういう文体、考え方に興味を持てたら、是非他の短編を読むことも
お薦めする。
明治25年に生まれ、昭和2年に亡くなったこの小説家の文章と
その小説の少しも古びないことに驚かれるかもしれない。
黒澤明の名画「羅生門」は、芥川龍之介の「薮の中」(と「羅生門」)を
題材にしたものだ。この「薮の中」は今昔物語を題材にした王朝物の
一つで、ある出来事について検非違使に問われる七人の人物それぞれの
主張する話が全て異なり、矛盾だらけであることから、真相が分からないことを
藪の中と言うようになったものである。
その事ひとつとっても、面白いつながりと思う。青空文庫はネットの環境が
あればだれでも読むことが出来るので是非一読を。