「ごんぎつね」を読んで~

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久し振りに読んだ「ごんぎつね」

相変わらず琴線に触れる話だなと思ったことであった。

なんというか、初めて読んだ、六、七歳の頃だったか、その時とあまり変わりの

ない感覚を得ている気がするのだ。

大雑把なあらすじを書くが、短いので読むことをおすすめする。

 

平十という貧しい漁師がいる。

その土地に住み着く独りぼっちのごんぎつねがいる。

ある時平十がしかけた罠にかかっていた魚をいたずらに逃がしてしまう

ごんぎつね。

その中にはウナギもいた。ぬるぬるとしてなかなか取れず、もたもたするうち

戻ってきた平十にしかりつけられて大慌てで逃げるごんぎつねだった。

それから何日かたったある日。

村にお祭りでもあるのか、女たちが炊き出しをしたり平十の家でも忙しく

しているようすだ。

その時ごんぎつねは悟った。太鼓や笛の音もしないから、これは葬式だ、と。

そして平十の家で亡くなったのは平十のおふくろで、自分が逃がしたうなぎは

病に伏していたおふくろに食べさせるためのうなぎだったのだと。

あんないたずらをしなければよかったとごんぎつねは後悔した。

うなぎのつぐないのつもりで魚屋からイワシをぬすんで平十の家に投げ込んだが

誤解され平十がひどい目にあわされたので、それからは栗やまつたけやらを、

森でとって来ては平十の家に持っていくごんぎつね。

そのことを不思議がる平十に村人が言う、それは神様がなさっているのだと。

ごんぎつねは、つまらないなあと思う。神様じゃなくて、おれが持っていって

いるのに。

そのあくる日もいつものようにごんぎつねは平十の家に栗を持っていく。

たまたま物置で縄をなっていた兵十はごんぎつねを見かけて、うなぎを盗んだ

奴だと思い、火縄銃に火薬をつけてごんに向かって銃を撃った…

 

殆ど書いてしまったが、最後が泣ける。

大抵の物語などには、我慢が利く自分であるが、これにはいつも何とも言えない

気持ちがこみ上げてきてしまってじんわりくるのだ。

独りぼっちのごんぎつねは独りぼっちになった平十と自分を重ねていたの

だろうか。

言葉も通じないごんぎつねは、平十を一種の友達と思っていたのだろうか。

ごんぎつねがどうなったか、ぜひお読みあれ。

青空文庫で読むことが出来る話である。

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